『冬眠の謎を解く』
私の目に移りこんできたその本は
「冬眠ってどうやって起きると思う?」
そんな素朴な質問を投げかけてきているようだった
冬眠とはこれほどまでに複雑な仕組みなのか
動物とはこんな複雑なことを失敗もなく毎年行事のようにやっているのか
そんな心震わせる内容だった
それでは、シマリスをもとに冬眠の仕組みを見ていってほしい
冬眠の仕組み
「冬眠とは何だと思う?」
そう聞かれると私もそうであったが大方の人が答えるのは、
「体温が低くなって、長期間寝ていること。多分消費カロリーを少なくするため」
こんな風に答えると思う
しかしこの本では冬眠を再定義している
「冬眠とは、単に体温を下げて眠りにつくことではなく、低体温でも長時間安全に働ける細胞へ調整すること」
冬眠を行うと低体温となる。これは間違いない
しかし、低体温になると通常の細胞は満足に動くことができず、どんどんと細胞は壊れていってしまう
それを防ぐ仕組みこそが冬眠というわけだ
冬眠の流れ
冬眠をする流れは大まかに次のようになる
1.脳が冬眠の時期だと指令をだす
2.血液中を流れている、あるたんぱく質が変化する
3.たんぱく質が細胞へと指令をだす
4.低体温下で動いても壊れないような仕組みに細胞が変化する
ここに書いたことを見ても「なんで!?」の連続だとは思う
もし詳細について興味が湧いたらぜひとも本書を実際に見てほしい
生物の仕組みが神秘の業に思えた
本書ではまず細胞の仕組みの例題として
細胞がどうやって心臓を動かしているのかという説明から始まる
その説明を見た瞬間から体がゾクリとした
細胞と血液中で起こっていること
ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン
これらが細胞内と血液とのやり取りによって、心臓の拍動は引き起こされている
『イオン』
高校の化学で勉強したのが最後だったが、まさかこんなところで再びお会いするとは思わなかった
心臓の拍動という機械的な動きが、化学的な『イオン』で成り立っているそのことに感動を覚えた
この感動のおかげが本書を一気に見終わることができたようだ
本書では研究の結果をストーリー仕立てにして説明してくれている
まさしくファンタジー小説のような内容に驚きの疑問を私に与えてくれた
まったく医学的、化学的な職業や学業にはかかわってこなかったことを後悔すすほどの感情を与えてくれる本であった